中小企業経営入門/キャッシュフローの見方

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【キャッシュフロー計算書とは?】
 株式を公開している大企業などは毎年貸借対照表や損益計算書とともにキャッシュフロー計算書というものを作成しています。キャッシュフロー計算書というのは、当期の現金預金の増減の内容を項目ごとに区分して説明しているもので近年重要性が高まってきていますが、中小企業ではあまり馴染みがなく、決算書にキャッシュフロー計算書を付けている中小企業はほとんどないと思います。

 キャッシュフロー計算書を自社で作るのは大変なので、その作成の方法はここでは触れませんが、自社のキャッシュフローを知ることは資金繰りの観点から見ると実務上大変重要です。ここではキャッシュフローのポイントを簡単にご説明します。

 なお、キャッシュフローのキャッシュとは現金預金のことを意味し、フローとはそのながれを意味します。

【自社のキャッシュフローを知る】
 前期と前々期の決算書をご用意ください。前期の貸借対照表に記載されている現金預金の額から前々期の貸借対照表に記載されている現金預金の額を引いてみてください。それがキャッシュフロー計算書の答えです。キャッシュフロー計算書を作るのは大変ですが、キャッシュフロー計算書の答えだけは簡単に計算できます。

 さて、現金預金は増えていますか?それとも減っていますか?利益が出ているのに減っているとすればどこかに会社のお金が出て行ってしまっています。

【自社のキャッシュフローの内容を知る】
 次の金額をご確認ください。
@前期の当期純利益(損失):前期の損益計算書より
A前期の減価償却費の合計額:前期の損益計算書、製造原価報告書より
B前期の設備投資:前期の減価償却明細より
C前期の借入金増減:前期と前々期の貸借対照表より

 次のように計算してください。
@+A−B+C
(例)
@前期の当期純利益(損失):損失が発生したため −300
A前期の減価償却費の合計額:損益計算書と製造原価報告書を合計して 100
B前期の設備投資:車両を1台購入 200
C前期の借入金増減:月20を返済、年間で −240
⇒−300+100−200−240=−640

 計算した結果と前期の現金預金の増減額を比べてみてください。大体同額であれば、これがその会社のおおまかなキャッシュフローです。もし違うようでしたら今度は次の点をご確認ください。
・売掛金、受取手形、棚卸資産の増減:増えていれば会社の現金預金はその分減少する
・買掛金、支払手形の増減:増えていれば会社の現金預金はその分増加する

 会社のキャッシュフローの要因は様々あり、上記の説明では不足するところもありますが話がどんどん難しくなってきますので中小企業経営者としては上記程度の知識があれば十分だと思います。

【キャッシュフローを改善する】
 自社の現金預金の増減の内容が分かれば、その内容のうちいずれかを改善することにより会社の現金預金は増えてきます。例えば車両を購入する際にリースを利用したり、借入金の借り換えにより返済期間を長くしたりすることにより、その会社のキャッシュフローは改善されます。


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